―電子書籍―『絵詞』と元寇の考察 蒙古襲来考

『絵詞』と元寇の考察 蒙古襲来考
-電子書籍版-

 13世紀の後半、日本は2度にわたる蒙古(元)襲来を受けた。この蒙古襲来は単なる蒙古合戦という合戦史という歴史のひとコマでなく、鎌倉幕府北条氏の政治体制の概念が崩れ始め、北条得宗家と御家人衆の間にほころびが表に現れた時期に重なる。
 外国が日本国に襲来した唯一の事件、この襲来の実状を見事に伝えているのが『蒙古襲来絵詞』である。肥後国の御家人竹崎季長が、「文永の役」「弘安の役」に出陣し、その勇戦した顛末(てんまつ)を描いたものである。この絵巻は竹崎季長自身が主役で描いているのであるから、『竹崎季長絵詞』と称するのが本当かもしれない。
 この絵巻物語は、研究対象に2面があり、1つには美術作品としての価値、今一つには『史料』としての日本史研究に使われる事である。『絵巻』はまさしく美術史と日本史の観点から考察する事ができる名作となっている。また、「元寇」という用語は、江戸時代水戸藩による『大日本史』の編纂時に使われた言葉といわれ、「倭寇」を逆転させて「元寇」という用語が生まれたという。
これ等の面白さを求めて、筆者は先ず蒙古襲来地を歩くことから始めた。現地ではどの様な受け止め方をしているのか、どの様な言い伝えがあるのか、それ等を見て感じてもらえるような探訪して、『蒙古襲来絵詞』の面白さを深めてみたいと思っている。考察的研究論文での結論を探るのではなく、訪問地での体感を出来る限り現場報告や、『蒙古襲来絵詞』の裏側の話等を含めて進める編集とした。
 尚、述べる部分の考察は、その書籍の著者と、写真・絵図もその出処を明記した。『蒙古襲来絵詞』を通して、この旅をしたくなるような想いになっていただければ、筆者はこの上のない喜びであります。
   
池田 勝宣
 
 
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はじめに
第1部 『蒙古襲来絵詞』『竹崎季長絵詞』を拝観
第2部 『絵詞』から見えてくること
第3部 蒙古帝国牒状から襲来まで
第4部 追記
@神仏祈祷
A「蒙古帝国国書」をどの様に捉えるか
B竹崎季長の故郷東海郷を歩く
C伏敵編
D対馬郷土誌拾い読み
E矢田一嘯の「蒙古襲来絵図」を拝見する
終わりにかえて
―※A4・横40字×30行計153頁―